マラソンを岩手からゆっくり伝えるブログ

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ナイキのヴェイパーフライ問題をいわてから考える

トップランナーのヴェイパーフライ使用禁止の可能性が出てきた。


イギリス紙「テレグラフ」、「タイムズ」、「デイリーメール」などのイギリス各紙は15日、男女のマラソン世界記録を誕生させるなど陸上長距離界を席巻しているナイキ社の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」について、国際陸連によって禁止となる可能性が高いと一斉に報じた。国際陸連は昨秋から調査チームを立ち上げている。


一昨年から噂には聴いていたが、遂に公になったかーという印象をまず受けた。

このタイミングで公にした引き金って何だったろうと思う。


内容を観ると、ナイキ「ヴェイパーフライ」の問題部位は、ナイキズームXと、カーボンプレートのようだ。


①ズームX部位、「厚底」という定義が曖昧である。禁止とされた場合、具体的に何センチと記載されるのだろうか?もしも「薄底」で新記録続出なら「何センチ以上を必要とする……」となるのだろうか。単に「厚底」ということであれば、同社のズームフライだって厚底だと思うし、他社ならホカオネオネクリフトンやリンコンだって、アシックスのグライドライドだって厚底だと個人的には思うし、厚底に見える。


この「厚底」という定義が曖昧なのが個人的に国際陸連に腹立たしさを覚える。

1分、1秒速くと選手は記録の数字にこだわっているのに、なんと扱いが雑なこと。


②カーボンプレートは、既に短距離界は使用されているし、今のところ短距離界では問題にはなっていない。


③対象が「ヴェイパーフライ」だけであり、同社ズームX搭載の「ペガサスターボ2」、カーボンプレート搭載の「ズームフライ3(あるいはそのシリーズ)」は現時点では問題となっていない。


上記2種類のシューズが問題にはならず、ズームXとカーボンプレートを搭載したヴェイパーフライだけ問題になったのは、新記録を連発しているから禁止にする、という様に聴こえる。


つまりは、均衡を保て、と。


④現在の世界陸連の規定では、長距離用シューズのソールの厚さには規定がないが「全ての人にとって合理的に利用可能でなければならず、ランナーに不当な優位性を与えてはいけない」と定めている。


市民ランナーまで使用可能になっているし、販売も誰が使ってはいけないなどの縛りはしていない。不当な優位性を与えている状態とは言えない。


こんなニュースも。

陸上で昨年の世界選手権男子1万メートル3位となった20歳のロネックス・キプルト(ケニア)が12日、スペインのバレンシアで行われたロードレースの10キロで26分24秒の世界新記録を樹立した。(共同)


この時キプルト選手が履いていたシューズはアディダス匠戦。




技術者の技術革新は選手にとって不都合なのだろうか?


技術の進歩は、人間を幸福に導くと、オリンピックの後に行われるパラリンピックが体現しているではないか。




一社独占が許せないのだろうか。技術側でそのような規制をするならば、万が一、選手側の規制をしたらどう思うか。


ケニア選手が上位独占しているから人数制限設けます、と言えるだろうか。


もしも、空前絶後の新記録が出ると確信した選手が、手を抜いて世界記録よりも1秒だけ、5秒だけ速くなるように調整したら、それはスポーツマンシップなのだろうか?そして、そんな走りを人々は観たいだろうか。


かつて、スピード社のレーザーレーサーなる水着騒動があった際に、世界一位だった北島康介は「I AM THE SWIMMER(泳ぐのは僕だ)」というTシャツを着た。


I AM THE RUNNER。

走るのは僕だ。




未来の話し。

人の夢は終わらない。


レーザーレーサー禁止後も、結局のところ世界記録は塗り替えられている。

マラソンだって、公式に2時間を切るタイムが出る時代が来るんだ。


だからと言って、履き慣らして自分のものにしようとする選手の努力の結晶、技術者の技術の結晶を、今のベストを踏みにじる事は、僕は納得がいかない。



未来の話し。

こうなる事は分かっていたナイキが、更に戦略な一手を出してくる事を、僕は期待している。


今回の件に、僕は大きな疑問がある。